「主体的・対話的で深い学び」の視点をもって授業改善を行っていこうというのが学習指導要領の流れです。UDL(Universal Design for Learning)を実践していますが、特に「主体的な学び」との相性がいいと感じています。
自分で選ぶことが主体的な学びのスタートになる
うちのこどもたちは朝ごはんを食べないときがあります。でも、自分で「納豆とごはん食べる」と自分で朝ごはんを選んだときはしっかりと食べてくれます。同じように、課題や活動方法などを自分自身で選んだら、自然と手が動きます。これはごく自然なことだと思います。
だから、授業開始時に故意に選択する場面を設定するようにします。その選択する場面、選択肢のことを「オプション」といい、学習目的を達成できるなら、どのようなオプションを選んでもいいというのが基本的な考え方になります。こどもたちが育ってくると、自由に選ぶことができるようになりますが、初期段階であれば、「ルート」と「レベル」を意識してオプションを用意するように心がけています。
ポイント
オプションを作り方は「ルート」と「レベル」を意識すること
数学の授業で言えば、「ルート」はどの問題から解いていってもいいけど、共通課題の問題は最後には全員ができるようになっているようにする。また、「レベル」は難易度を用意して、苦手な子は簡単なものから、得意な子は簡単なものはとばして難しいものからチャレンジするけど、共通課題の問題は最後には全員ができるようになっているようにします。オプションの用意がUDL(学びのユニバーサルデザイン)の最初の課題になると思いますが、「ルート」と「レベル」を意識すれば問題ないと思います。
得意な学習方法なら自然と主体的な学びになる
英単語が覚えられないと相談を受けたことがあります。実際にどうやって覚えているのかをやってみてもらいました。実演してもらうと「教科書の単語とその意味をじっと見ている」だけでした。英単語の覚え方という学習方法をきちんと理解できていないと、こういう覚え方になってしまいます。
では、英単語は一般的には次のように覚えるのがいいようです。
ポイント
単語を何度も書いて、書いたアルファベットを口に出しながら発音して、書いたものを自分の目で確認しながら、意味も書いて意味も声に出して覚える。
できる人にとってはごく自然なことですが、「書いて(運動感覚)、目で確認しながら(視覚)、発音しながら(聴覚)」という「視覚」「聴覚」「運動感覚」を利用しながら学習していきます。それぞれ学習の方法には得意不得意があり、それを補いながら英単語を覚えていきます。
でも、こどもたちは自分の得意な学習方法を知らないというのが現状です。自分自身が「視覚優位」「聴覚優位」なのかなど、自分自身の特性を知る必要があります(自己理解学習)。自己理解学習で自分自身の特性を確認していると、学習がスムーズに進めることができます。
粘り強く、自己調整を行いながら学ぶのが「主体的な学び」である
「主体的な学び」とは「授業中に手を挙げて発言すること」「ノートをきれいに写すこと」ではありません。主体的な学びは挙手発言をすることだとしたら、人前で話すことが苦手な子がいたら学習の評価が正確に行えません。人前で話すことが苦手だと成績が下がってしまったら困ってしまいます。学習を理解しているのかどうかという視点を忘れてはいけません。
ポイント
主体的な学びとは、粘り強く、自己調整しながら学ぶこと。
主体的な学びのキーワードは「粘り強く」と「自己調整」です。難しい問題でも諦めずに取り組めること、難しいから簡単なものからチャレンジする、基本を整理しなおすなど、こどもの様子をよく観察することが大切になります。
うちの子もポケモンでジムリーダーを倒せないときに、何度もチャレンジしながら、属性を考えながら攻略している姿をみて、主体的にゲームしているなと感心しました。それと同じで粘り強く、自己調整することがポイントになります。
「自主的」ではなく「主体的」に取り組めるようにUDL的には「オプション」を用意して、学びのエキスパートになれるように支援していけたらいいと思います。