UDL(学びのユニバーサルデザイン)の研修を受けて、もう少し学びたいと思い、ネット上でいろいろと探してみると「授業のUD」というものがたくさんできます。最初の頃は、学びのユニバーサルデザインと授業のUDの違いがよく分かっていませんでした。そこで、いろいろと調べてみて、授業のUDに興味が出てきたので、桂聖さんの研修に参加しました。そこでは「焦点化・視覚化・共有化」を意識して授業をするみたいなことを話をしていて、非常に分かりやすかったという記憶があります。でも、これまでの様々な指導方法と同じで主役が「先生」という感じがしました。しかし、自分が学びのユニバーサルデザインに強く興味をもったのは主役が「生徒」というイメージでだったからです。
授業のUDの書籍も何冊も読みましたし、授業のUDを授業改善の参考にしました。ちなみに、授業のUDは何なのかというのを日本授業UD学会で調べてみると次のようになっていました。
関西国際大学の花熊曉教授は次のように「授業のUD」と「UDL(学びのユニバーサルデザイン)」の違いについてまとめています。非常に分かりやすくまとめられています。
特別支援教育と教科教育のコラボレーションについては、現在、2つの立場から実践が試みられている。1つは米国のCASTが提唱する「学びのユニバーサルデザイン(UDL)」をもとにしたUDL研究会の研究実践、もう1つは2016年1月に結成された日本授業UD学会の研究実践である。この2つの研究会は、「学びのユニバーサルデザイン」を提唱する点では共通しているが、取組のスタンスはかなり異なっており、UDL研究会の取組は、認知科学(脳機能)に基づく学習理論と学習過程におけるICT活用が大きな特徴で、学習者の状態とニーズに応じた学習カリキュラムそれ自体を検討しようとしている(学習の困難はカリキュラムが子どもにマッチしていないことから生じるという考え方)。これに対して、授業UD学会は、伝統的な教科教育法を基盤とし、そこに特別支援教育の考え方を取り入れることで、全ての子どもが「楽しく、わかる、できる」授業を作ろうとしている。そのため、UDL研究会が目ざすのは「どう教えるかではなく、どのように学ぶか」という「学習者主体の学習」、授業UD学会が目ざすのは「授業の哲学の形成」と「教師の授業力の向上」というように、最終的な目標も異なっている。もちろんこの違いは、両者がよって立つ基盤の違いによるもので、学習者主体の学習、教師の授業力の向上という点では双方の共通性もあり、最近は両者の間でも交流が行われていることから、今後の発展が期待されるところである。(花熊 2018「社会問題研究・第67巻」)
ちなみに、こちらに出てくるUDL研究会(サイト、Facebook)も紹介していきます。
これまで授業のUD以外にも、たくさんの指導方法が紹介されてきましたが、学びのユニバーサルデザインがほかの指導方法と違うところは「主役が誰なのか」というところです。先生がこういう風にしたらいいという指導方法ではなく、主役が「学習者」という「学びのユニバーサルデザイン(UDL)」の考え方に興味がわきました。今回の学習指導要領の考え方にも合っています。
また、学びのユニバーサルデザイン(UDL)の認知科学に基づくというところも、これまでの指導方法と違うところです。これまでの様々な指導方法も、きっと効果があったはずです。それが流行り、その指導方法の本質を理解しない人たちが形だけを真似してしまい、形骸化し、目立つ一部の指導方法だけが残っていくというパターンが多かったと思います。
学びのユニバーサルデザイン(UDL)は新しい学習指導要領とも「ICT」「個別最適化」「自己調整」など親和性も高いです。学びのユニバーサルデザイン(UDL)にはしっかりとした背景(認知科学)があるのもおもしろいところです。
授業のUDと学びのユニバーサルデザイン(UDL)のよいところが混ざって、よりよいものができればいいのですが、基本的な考え方が少し違うので難しいかもしれません。こちらの書籍は、授業のUDと学びのユニバーサルデザインを理解するのに、現在一番な書籍です。
しかし、この書籍には、授業のUDと学びのユニバーサルデザイン(UDL)が今後、混ざり合っていきそうな雰囲気も感じられます。進歩を続けていけるところが素晴らしいです。授業のUDの本なのに、大きく「UDL」の文字があり、わくわくします。桂聖さんとバーンス亀山静子さんの対談は勉強になります。興味深く、何度も読み返しました。
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