今回の学習指導要領で新しくなった評価の観点。その中で注目されているのが「主体的に学習に取り組む態度」です。「主体的に学習に取り組む態度」は「粘り強さ」と「自己調整」がキーワードになっています。現在は主体的に学習に取り組む生徒の育成をめざして授業改善をしているところです。
どうやったら、主体的な学習者になるのか、いろいろと調べていたら「自己調整学習」「モニタリング学習」「実行機能」というキーワードにたどり着きました。
学びのユニバーサルデザインでも、ガイドライン6に「実行機能のためのオプションを提供する」があり、その中に「適切な目標を設定できる」「プランニングと方略の向上」「進捗をモニターする」という言葉があります。
「自己調整」を意識してルーブリックを提示する
そこで、「自己調整」を意識することに決めました。指導してもらっていた大学の先生には、「自己調整」には「ルーブリック」が重要であると教えてもらったので、自分なりのペースで実践を繰り返しました。
そこで、上記のようなルーブリックを毎時間提示するようにしました。最初の頃は文章表記のみでしたが、具体的な問題とリンクしている方が分かりやすいと言うことが分かり、授業改善を行いました。
97%の生徒がルーブリックは必要
単元のはじめにルーブリックを配付して、どのように単元を進めていくのか知らせ、どんなことができるようになってほしいのか確認するようにしました。生徒たちは成績も影響することもあって、ルーブリックを見ながら、自分自身の学習をモニタリングしながら、学習に取り組んでいました。少しは、主体的な学習者になってきたようにも感じられたので、アンケートを実施しました。
「ルーブリックや評価基準はあったほうがいいですか」と質問をしたところ、次のような結果になりました。
あった方がいい | 66 | 97% |
なくてもいい | 2 | 3% |
ルーブリックが必要な理由
また、「あった方がいい」という人たちの理由は次のようなものでした。
- 何をどうすればいいのか迷ったときに、何をできるようになればいいか迷ったときに役立ちました。
- 自分のレベルが分かるから復習しやすい。
- テストのときに復習として役に立った。
- テストに直接的な影響があるのかは未知数ではあるけれど、自分の学習到達度を知る上で役立っているから、続けてほしい。
- 提出するプリントでルーブリックに丸がついて返ってくると、自分がどこができていなかったのかが、すごく分かりやすいし、見直す時にも役立つ。また、授業ごとの理解度が自分で確かめられるのもいいところだと思います。
- 学ぶ前に何をすればいいのか参考になる。この授業で分からなければならないことが明確になる。
- 自分に何が足りていないかが一目でわかる。評価がないと不安になる。
- 評価が分かると毎回頑張りやすい
- やる気が出た。難しいと思って諦めていた問題にも取り組むようになった。
「あった方がいい」という理由を読んでいただいたら、ルーブリックの提示が主体的な学習者の第一歩になっていることが分かるでしょう。
指導する側にもメリットがあるルーブリック
ルーブリックは生徒にとって有益であることは理解できたと思いますが、指導する側にもメリットがあります。
- 評価の基準が分かっているのでポイントをしぼって指導しやすい。
- 課題をチェックするときに、評価の視点が明確なので時間がかからない。
- 評価の基準が明確なので、生徒の主体性な取り組みに気づけるようになる。
実際に指導してみると、上記なようなことが感じられるようになりました。正直なところ、ルーブリックをつくるのは大変です。しかし、毎年、少しずつ微調整を加えながらやっているので、自分自身でも授業が上手になったような気がします。何より、生徒たちが前向きに取り組んでくれるところがいいです。
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