令和3年3月に文部科学省から「学習指導要領の趣旨の実現に向けた個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に関する参考資料」(以下、参考資料とする)が出されました。協働的な学びはなんとなくイメージできると思いますが、個別最適な学びは少し捉えづらい感じもします。しかし、学びのユニバーサルデザインと非常に相性がいいのです。今回は「個別最適な学びとUDL」についてまとめていきます。
学習指導要領において示された資質・能力の育成を着実に進めることが重要であり、そのためには、新たな学校における基盤的なツールとなるICTも最大限活用しながら、多様なこどもたちを誰一人取り残すことなく育成する「個別最適な学び」と、こどもたちの多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」の一体的な充実が図られることが求められているとされています。また、その際にはカリキュラム・マネジメントの取り組みを一層進めることが重要とされています。
参考資料
「多様なこどもたち」や「多様な個性」というキーワードが出てくるように、こどもは違っていて当たり前という学びのユニバーサルデザインの考え方と合致しています。そして、カリキュラム・マネジメントの取り組みを進めるというところも、カリキュラムに障害があるというUDLの考え方にも合っています。
2030年の社会と育成を目指す資質・能力とは、このような時代の変化を前向きに受け止め、現在では思いもつかない新しい未来の姿を構想し実現したりしていくことができる。
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また、これからの時代は受け身の観点に立つのであれば、難しい時代になるということで、学びのエキスパートをめざす「学びのユニバーサルデザイン」にぴったりという感じもします。
未来の社会を見据え、生徒の資質・能力を育成するに当たっては、このような学習指導要領の趣旨を踏まえ、「個別最適な学び」と「協働的な学び」という観点から学習活動の充実の方向性を改めて捉え直し、これまで培われてきた工夫とともに、ICTの新たな可能性を指導に生かすことで、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげていくことが重要とされています。
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これまでの流れと変わることはなく、主体的・対話的で深い学びをめざし、そのためには「個別最適な学び」と「協働的な学び」という観点で授業改善をしようというところも納得できます。
個別最適な学びについて、指導の個別化と学習の個性化に整理されていて、生徒が自己調整しながら学習を進めていくことができるようにする。
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自己調整というキーワードも、ガイドライン9のところにも出てきます。学びのユニバーサルデザインの考え方と一緒です。
全ての子供に基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ、思考力・判断力・表現力等や、自ら学習を調整しながら粘り強く学習に取り組む態度等を育成するためには、教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことなどで効果的な指導を実現することや子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度等に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うことなどの「指導の個別化」が必要である。
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基礎的・基本的な知識・技能等や、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、幼児期からの様々な場を通じての体験活動から得た子供の興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じ、探究において課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を行う等、教師が子供一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整する「学習の個性化」も必要である。
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学びのユニバーサルデザインの視点にたって「指導の個別化」と「学習の個性化」についても考えていきます。